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コラム

スポキャリインタビューvol.2(阪神大学野球連盟会長/関西国際大学学長 濱名 篤さん)

2020/12/22

スポキャリインタビュー<vol.2>

学生のこと、就活のこと――

大学の指導者に聞いてみた

 

濱名 篤さん

(阪神大学野球連盟会長/関西国際大学学長)

[聞き手]

岡 泰秀(株)スポキャリ取締役会長。

昭和50年(1975年)生まれ。京都成章高-大阪体育大。

99年4月(株)大阪近鉄バファローズに入社。監督付き広報、2軍チームマネジャーほか、球団社長室に所属し、肖像権委員会、広報業務などに携わる。近鉄球団の整理を担当しながら、オリックスバファローズや東北楽天イーグルスの設立に携わり退社。09年にスポーツマネジメント会社「スポーツカンパニー」設立。

上原浩治(元巨人)、建山義紀(元日本ハム)らの日本側の代理人を務め、清水直行(元ロッテ)らの事業コンサルを務めた。

04年よりプロスポーツ昭和50年会を立ち上げ、幹事長を務める。05年より大阪体育大学硬式野球部の助監督を務めた(~17年)。16年からは阪神大学野球連盟の常任理事。

20年より(株)スポキャリ取締役会長

 

考える力を身に付けよう! 

自分の課題を発見し解決していこう

 

阪神大学野球連盟の1部リーグに所属する関西国際大学の学長である濱名篤氏は、日本の教育学者としての一面を持ち、教育問題についての書籍も多数出している。98年に関西国際大学の開業に伴い、同大学の教授に。05年には現職である関西国際大学の学長に就任。さらに06年からは学校法人濱名学院(のち神戸山手学園との法人合併を行い、学校法人濱名山手学院に変更)の理事長も兼任している。

そのかたはら、文科省学校法人運営調査員、私学情報推進会議委員など、教育と学校運営にかかわる現場で要職を任じられている方でもある。

それゆえに、学生に対する視線は、優しくかつ一方で厳しいものがあるが、その長年教育に携わってこられた濱名氏に、コロナ禍にあって例年とは異なる就活の現場、社会の変化を語っていただいた。

★第一希望の企業に入れるのはおよそ30%に過ぎない

講演では、21年卒の現4年生の求人内定率が5年ぶりに70%を切った(10月1日現在)ことを学生に伝えていた濱名氏。その一方で、刻々と変わる社会情勢の中、このコロナの問題のみならず、今後さまざまな変化が予想され、就職活動そのものもスタイルが変わってくるのではないかと説明があった。

「今、企業にとって大きな問題となりつつあるのが、『2025年問題』。ベビーブームに生まれた人たちが75歳になる年です。定年は延びてきていますが、さすがに75歳になると、退かざるを得なくなる。そこで、補填のため求人が増えるという見方があります。そのため、25年を前に計画的に求人を増やしている企業もあります。その一方で、少子化の問題もあり、また、AIの導入などもあって、採用人数を減らすという企業もあります。それぞれの職種・業種によって差があるということを知っておかないといけません。そういう現実を知っておいて、学生本人もそうですが、我々指導する立場の人間も、いかに正しい方向に導いていけるかが求められているように思います」

その中で、学生たちに一番伝えたいことは、と聞くと、濱名氏は「自分がやっていること、そして、これからやりたいことを、しっかり振り返りながら考えて、歩んでいってほしいということですね」

興味深いデータを教えてくれた。

「体育会の学生に限ったことではなく、学生が第一希望の企業に就職できる確率は、実は30%程度しかないというデータがあります。国公立大や、俗にいう銘柄大学(平たく言うと伝統校や人気校)でも40%行くかどうか。希望した業種・職種に思い通りに進めた人はそんなに多くないんです」

すべてがうまくいくわけではない――。濱名氏はそしてこう続けた。

「野球でもそうじゃないですか。データを見て、何で打てないのか、と考えることと同じ。野球のバッターに例えていえば、3割打者だったら成功なわけですが、裏を返せば、7割が失敗なんです。その失敗を振り返り、改善するポイントがわかれば、70%の失敗のうち、5%を成功に結び付けることができれば、一躍首位打者候補となります。就活も同じなんです。進めていくうちに、気づきもあるだろうし、何でアカンかったんだろうと考えることで、わかってくることもある。だから、考えることが大事といっているんです」

参加する学生たちが実際に取り組んでいる部活スポーツに置き換えてみれば、確かに学生にもわかりやすいだろう。

「わかりやすく言えば、課題を克服する力。これについては、体育会の学生たちは実は、普段から鍛えられているんです。自分のプレーについて、改善ポイントは何だろうと考える。それを発見できるか、実践できるか、ということこそが大事。それはスポーツのみならず、社会における役割についても、同じことが言えるんです」

教育界では「課題発見解決力」と表現されるようだ。

「課題発見ができないと、課題解決はできない。知識を持っているだけではだめなんです。それをいかに応用していくかが大事。勉強でいうと、暗記型の学力ではだめ。足らない。知識があるというだけでは、いずれAIにとってかわられる。AIができないのは『なぜ?』という問いです。その考える力を、人は伸ばしていかなければ、ならない」

つまり、例えば、これが原因で打てないんじゃないか、これが原因でチームがまとまらないんじゃないか、という課題をもって、克服のために考える。この考える力こそが、スーパーコンピュータにでもできないこと。そしてこれは、大学教育の場で伸ばしやすい、学びやすいことだと、濱名氏は強調した。

★考える力を養う。正しく自己分析を

「自分の生活に近いところや生活そのものの中で、やりきる力、考える力がついていけば、大学に来た価値があるということ。言われてやる、敷かれたレールの上をただ走るというのではなく、自分の頭で考えることが大切ということ」

プロ野球の世界に置き換えて話してくれた。

「新卒の採用ということは、プロのドラフトがそうであるように、その将来性や伸びしろにかけてドラフト指名していることと同じ。即戦力の選手としては、例えばトレードや、経験豊富な社会人野球の選手を取る。だから、選手のほうも、自分の将来性、可能性をどうアピールしていくかが大事であり、そこへの期待感をもって、採用しているのだ」

一般学生と比べて、体育会の学生たちは、その考える力を養いやすい環境にあるともいう。

「考え方次第だと思うけれど、競争環境というのは、間違いなく一般学生よりも身近にある。練習なり、試合なりで、日々課題を発見しやすい場所にいるのが、体育会の学生である」

大昔の、どなって、怒って…、という指導法は、今はほとんど受け入れられない。考えさせる、ふり返させる、そして選手自身が考えて行動を起こす、そんな風に導く指導者こそが今、求められている。そういう環境は、スポーツのみならず、普段の生活や、さらには就職活動にもつながるのではないかと思う。

「根性論ではなくて、正しく分析をして、考えて、分析的な視点で組織を作っていけるかどうか。これは野球だけの話ではない。企業も実際そうだ。”前に踏み出していく力”と”チームで働く力”、社会に出たとき求められるのはどっちか、と学生たちに聞いたときに多くの学生が”チームで……“と答える。でも、実際は逆でいいチーム、強いチームを作ろうと思ったら、粗削りでも前に進む力を持った選手たちを集めて、それをいいチームにしていくことはできる。でも、チームで…という志向の強い子ばかりでは、実はなかなかいいチームにならない。きれいごとばかりではないということ。もちろん足を引っ張りあうような環境ではいけないけれど。採用活動でもそういう傾向がみられる。大企業ほど、前に進む力を重視している」

濱名氏はそう力説した。

★敷かれたレールを走るのではなく、道は自分で切り開く

一方で、現実的な問題として、例えば野球部の学生たちの多くは、小さいころから野球をやってきた中で、親や周辺の自分自身をサポートしてくれる人たちが、敷いてくれたレールの上を走ってきた。コーチから教えられるままに、『なぜ?』と問うこともせず、プレーしてきた選手も多い。結果として、自分の力で伝える能力、あるいは言葉にする(言語化)力が弱いと感じることも少なくない。

「考えさせる時間を多くの指導者が与えてこなかった。選手がミスをしたときに、『何が悪かったんか、言うてみい!』としかる。選手のほうは、その場で考えるに十分な時間を与えられないので、ただただ謝ったり、指導者が好む言葉を返して、その場をやり過ごそうとしか考えない。それは、選手に考える能力を鍛える、高める。ということにはならない」と濱名氏。そこになぜ悪かったのか、なぜ失敗したのかを確認し、考えるプロセスは、ほぼ存在しないということだ。

「就活においてもそうだと思う。社会に出て、そこには模範解答があることは少ない。また、模範解答があっても、その通りできることは少ないのが現実。しっかり考えて行動する、そういう訓練をして身についていれば、応用はききます。体力だけで仕事をやっているヤツは、この世の中、そのうち“要らん”と言われるようになります」

最後に今後の就職戦線について。

「この学年だけという意味ではなくて、就活そのものが変わってくると思う。面接官は、実は志望動機なんて真剣には聞いていない。なんなら、その間に書類に目を移して確認しているくらいだ。1分間で端的に考えを伝えられること。面接でいうなら、これが大事。長くてもアカン。3分、5分とグダグダとしゃべるヤツには「あ、こいつアカンな」と判断していると思う。そういう訓練を大学の中でやる必要がある。部活の中でも、それはできる」

 

 

◆就活のためのキー・ワード

1・業種・職種によって採用人数が異なってきている

2・課題を発見し、解決する力を持とう

3・自ら前に進む力を企業は求めている

 

 

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